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「カリフォルニア毛植革命」
 

【4章-1】 《薄毛族に捧げる『髪の毛コンプレックス』脱出法》


ある日、鏡の前でアナタはハッと気がつく。

「あれェ、なんか薄くなってきたなァ……」

あるいは、人からいわれて気づく場合もあるだろう。

「お前、ずいぶん薄くなったんじゃないか? 気をつけないとヤバイぜ」


風呂場の排水溝に髪の毛がごっそりへばりついていたことを思いだし、(もしかして、オレはハゲるのだろうか……)と背筋がゾクッとする。
さて、これからが本人にとっては〝悲劇〟の幕開け、周りには〝喜劇〟の幕開けになる。
髪の毛が薄くなったと気づいたとき、まずダレもが考えるのが養毛剤や育毛剤のたぐいである。安くて3千円。5千円、1万円も当たり前。

「こりゃ、かなり効くそうですけどネ」

と、薬局のオヤジさんが机の下からだした場合は2万円以上ということもある。
もっとも、養毛剤や育毛剤で髪の毛が生えれば、あるいは、脱毛が食い止められればナンの苦労もない。なにしろ〝敵〟は遺伝子・DNAなのである。 これにストレスや食べ物(栄養)などが絡むものの、遺伝子・DNAに1万円、2万円では太刀打ちできないことにすぐ気がつくだろう。
この本をお読みの方は、きっとこのステップはすでにクリアされているはずだ。さてでは、次にどうするか。もっと効きそうな(値段の高い?) 養毛剤をトライするという方も少なくないだろう。ちなみに、日本の養毛剤市場は年間約200億円である。この『髪の毛市場』には次々に新製品が並べられるから、 ひと巡りするのにもかなりの手間と費用がかかる。だが、市場にある全種類を試しても、たぶん満足できる結果は得られないだろう。では、次の手は何か。 いま流行の育毛サロンや増毛法、さらには、カツラや植毛などに心を動かされている読者の方もいらっしゃるのではないだろうか。
不肖・この梅ガッパ記者は、まだ薄毛歴20年にも満たないのだが、幸か不幸か、いままで髪の毛に関する取材はかなりこなしてきた。そこで、この章では、 私がお薦めできる薄毛脱出法をご紹介したいと思う。


現在のところ、ワタシは薄毛脱出法は大まかに次の5つしかないと思っている。


    1.髪の毛のことをへたに悩まない
    2.スキンヘッドにする
    3.最善のヘアケアをする
    4.カツラをかぶる
    5.増毛or植毛をする



2~5はともかく、1については、

「〝悩むな〟だと? ふざけんじゃないよ。悩んでいるからこんな本を買ってまで読んでいるんだろうが」

と思う読者の方もいらっしゃるかもしれない。しかし、お怒りになってはいけない。ワタシはふざけていってるわけでもないし、むしろ『ハゲ対策』の最善の方法はコレしかないと思っているぐらいなのである。
実は、よくよく考えてみると、髪の毛が薄いことなど生きていくうえでナンの差し障りもない。毛髪の専門医に、


「なぜ、毛生え薬は一向に開発されないのか」

と聞いたことがあったのだが、

「むろん、科学技術がまだそこまで進歩してないという問題もあるのですが、結局、髪の毛が薄くなっても、健康という面では何も問題がないわけですね。 病気じゃないから研究対象にもなりにくい。だから、いまだに後進の分野なのでしょう」


という答えだった。つまり、医者も、ハゲなんて放っといても全く問題がないと判断しているというわけだ。その意味では、ハゲよりも成人病の引き金になるデブ(太り過ぎ)のほうを悩んだほうがいいぐらいなのだが、 甚だしい場合、「ハゲになるぐらいならデブになったほうがまだマシ」という方さえいる。理由はただ一つである。「見た目が良くない」 ただこれだけなのである。ただこれだけの問題だから、

「まあ、髪の毛が薄くても大したことはねえよ。髪の毛が多くても少なくても、オレはオレなんだから」

こう思うだけですべては解決。ノープロブレムなのである。
とはいえ、「人がどう思おうと関係ないや」と開き直るのはそう簡単ではない。では、どうしたら開き直れるのか、あるいは、薄毛のことを気にしないですむか?
ワタシ自身の体験でいうと、『ハゲ宣言』をしてしまうのが最も手っ取り早い方法だと思っている。


「なんだか薄くなったねぇ」

といわれたら、

「そうなんだよ。ここのところ、すっかりハゲちまってね。もうハゲの仲間入りだよ。ま、これも遺伝子のせいだから仕方ないよな」

と、すんなり肯定してしまう。
自分のことをハゲだと認めてしまうことは確かに自尊心がヒリヒリする。しかし、人に自分はハゲだと宣言することで、

「オレはもともと髪の毛が多かったんだ。それに今だって完全なハゲというわけでははないし……」

という未練をすっぱり断ち切ってしまえる。また、自分はハゲだと一旦認めてしまえば、これが本来の姿(?)だから、へたに髪の毛を生やそうとも思わない。 私だって完全に未練を断ち切ったわけではないのだが、ハゲ記者として取材するうちに「そうだよ。どうせオレはハゲだよ」と開き直ることが出来て、 ずいぶん楽になったような気がする。いわば肉(自尊心)を切らせて骨(ハゲコンプレックス)を断つ作戦である。
もうひとつの方法は、俗な言い方をするなら「オンナを作れ」ということだろう。
この点は、ハゲ通信でも取材したフリージャーナリストの日名子暁さんがいみじくも指摘している。


「ハゲたくないと男が思うのは、根底にオンナから嫌われたくないという気持ちがあるからでしょう。若いころから薄かった私があまり悩まずにすんだのはいつも彼女がいたというのが大きいですよ」


男が「女はやはり若い方がいい」という気持ちと一緒で、残念ながら、女性は髪の毛が薄い男よりそうでない男のほうを好む傾向にある。 「ハゲるとオンナにもてない」こう思うから、一層悩むのである。しかし、オンナがハゲの男を好きにならないかというと決してそうではない。 とりあえず1人でもいいから、彼女といえる恋人を持つ。こうすると、気分的にずいぶん楽になるはずなのである。
ワタシはこの二つが「ハゲコンプレックス」を解消する最良の方法ではないかと思うのだが、特に若いうちは、なかなか「どうせオレはハゲだよ」と開き直れないのも確かだろう。 こんな場合はどうすればいいのか?


それが第二の方法であるスキンヘッドにすることだ。むろん、これも冗談で言っているわけではない。スキンヘッドにすることは、ある意味で究極のハゲ・コン(ハゲ・コンプレックス) 解消法だとワタシは思っているし、ワタシ自身も何度か考えたことがあるぐらいだ。

実際にスキンヘッドにした2人のケースを紹介してみよう。
まず、指揮者の井上道義さん(51)である。彼は、35歳のとき長髪だった髪の毛をばっさりと切りスキンヘッドにした。そのころ、決して髪の毛が薄かったわけではなかったのだが、 髪の毛がかなり細くなっていて、これから年々薄くなるだろうという前兆が出ていたことが理由だった。


「ヘアケアに努力すれば、ある程度まで食い止めることが出来たのでしょうが、それに労力を使うぐらいなら、いっそバッサリ切ってしまおうと考えたんですよ。 それに、もう一つ、当時は気分を一新して、もっと深みのある仕事をと考えていた矢先でしたからね。いい機会でした。実際、スキンヘッドにしたあとは、 髪の毛のことで思い悩むこともなく実に快適です」


彼には女性ファンも多いのだが、スキンヘッドにして人気は逆に増したぐらいだった。スキンヘッドは決してもてないと言うこともないのである。


もう1人は前章でもご紹介した金子勝昭さん(エッセイスト)である。金子さんは37歳のとき、社内の演劇クラブで開催した芝居の役がキッカケで髪の毛を切った。


「あの時はカツラでも良かったのですが、スキンヘッドにしたのは、薄くなった髪の毛にいい加減うんざりしていたからでした。 ところが、こうして髪の毛をバッサリ切ってみて初めて、スキンヘッドというのはひとつのヘアースタイルだと気がついたんですよ。 新しいヘアースタイルに合わせてファッションも変わり、ファッションに合わせて、会社人間だった私が少しずつ変わっていったんですね。 スキンヘッドにすることで、外面ばかりでなく内面も変わるということを身をもって体験しました」


スキンヘッドにすることは確かに勇気がいるが、やってしまえば周囲も自分もなれてしまう。さらに、新しい自分も発見できるというわけである。 むろん、この二人にスキンヘッドにしたことへの後悔などはみじんもない。それどころか、髪の毛を洗う手間がいらず、整髪にも気を使う必要がないなど、 様々なメリットを感じているというのである。
スキンヘッドまではちょっと……と思う方は、俳優の竹中直人さんのようなヘアースタイルにするという手もある。彼の髪の毛がまだ長かったころは、 ずいぶん薄いなという感じだった。しかし、いまのように5厘刈りでスキンヘッドに近い髪型にすると、薄いというイメージはほとんどなくなったのではないだろうか。
つまり、あの5厘刈りは彼のヘアースタイルとして周りに映り、ハゲというマイナスイメージを払拭したのである。

いかがだろうか? いまは、男だって髪の毛を茶髪にしてイヤリングをはめる時代だ。スキンヘッドにしても、変なヤツと思われることはまずないはずだ。 髪の毛でくよくよ悩むぐらいなら、スパッとスキンヘッドにするのも一手ではないだろうか。
「髪の毛が薄くてナニが悪い」と開き直ることで、髪の毛コンプレックスを克服する。あるいは、スキンヘッドというヘアースタイルにしてハゲというイメージを払拭させる。 ここまでは、いわば気持ちの切り替えによる薄毛脱出法というわけだが、薄毛族の究極の願望は、やはり外面的に髪の毛を増やすことだろう。
それが次から説明する方法だが、ここでひとつ断っておきたいことがある。しつこいぐらいいっているように、男性型脱毛症は基本的に完璧な治療法がないということだ。
前述のように、髪の毛を薄くさせているのは、まだ人間の手には負えない遺伝子DNAなのである。一筋縄では髪の毛を増やすことなど出来ない。 髪の毛を増やすといってもせいぜいどこまで再生させるかということにかかっているといって過言ではない。

【4章-2】

まず、ヘアケアを完璧にすることで最大限に髪の毛を再生させる方法がある。
この方法で私が薦めたいのは次の3つである。


    1.若いころからヘアケアをしっかりする。
    2.脱毛の元になる脂質をため込まないようにする。
    3.頭皮の血行をよくする。



当たり前といえば当たり前の方法なのだが、各種の養毛剤も基本的にこの3点をもとに作られている。
遺伝的要素が強い男性型脱毛症は、髪の毛の脱毛が一旦進行し始めると、これを食い止めることはなかなか難しい。ところが、 ワタシの周囲を見回しても、若いころからヘアケアにしっかり努めた方は、50代になっても髪の毛を保っている方が多いのである。 家系的に危ないと思ったら、茶髪にしたり、パーマをかけるなど髪の毛によけいな負担をかけず、若いうちから養毛剤を使う。 養毛剤もこうした使い方にはかなり効果があるようだ。
また、毛根に脂質がたまり、毛穴をふさぐことも脱毛の原因になる。あまり脂っこいものを食べない、髪の毛のシャンプーをこまめにする心がけが必要だ。 毛穴の活性のためには、温かいお湯と冷たい水で交互に洗うという方法も効果的だろう。
そして、頭皮の血行をよくすることもポイントだ。たばこは控える、頭皮マッサージを欠かさない。


ヘアケアによる髪の毛再生術を熱心に推奨している神戸のある床屋さんによると、

「頭皮マッサージをこまめにやるだけで脱毛はむろん、髪の毛が再生することも多い」

という話も聞いたことがある。


最近は、育毛サロンも増えているが、決定的な毛髪再生技術はないと考えたほうがいい。育毛サロンも、基本的には前述した3点をより丁寧にすると理解するべきだと思う。
こうしたヘアケアで望んだような効果が出ない場合は、カツラに頼る方法も考えられるだろう。むろん、最近のカツラ技術はかなり進歩している。 毛質を本人の髪質に合わせて作るため、見た目にもカツラとわかりにくいし、そう簡単に脱げないように工夫されている。そして、最大のメリットは、 髪の毛のボリュームはお好み次第で、その日からフサフサになれるということだろう。
とはいえ、かつらにも限界がある。
まず第一に、その寿命の問題だ。もって5年、2~3年ぐらいで毛質が劣化してしまうのである。劣化すると、赤茶けてすぐにカツラだとバレてしまう。
ちなみに、カツラはきちんとしたモノをオーダーすると60~70万円といったところが平均的なところだ。 3年ごとに買い換えたとして10年では200万円近い費用がかかる。この点も難点だ。
さらに、カツラをつけた場合、元々あった自毛の寿命が縮まる。カツラで髪の毛やアタマが蒸れてしまうからである。カツラメーカーでもこの点を改善しようと、 メッシュに髪の毛を縫いつけるなどしているのだが、それでも自毛が傷つくことは避けられない。
カツラをかぶった人から「カツラをつけはじめて髪の毛の量がぐんと少なくなった」という嘆きをよく聞くぐらいだ。
また、カツラにすると、散髪に行くのでも、ふつうの床屋ではなく、専門の理髪師に任せなければならない。これが意外にめんどくさいという。
さらに、カツラ技術はかなり進歩しているとはいえ、職場などで毎日接していると、どうしてもバレてしまうケースが多い。
たとえば、カツラをかぶると、髪の毛の生え際から汗をかいてしまう。この汗のかきかたでカツラだとばれてしまうのである。 ばれても別に構わないとはいえ、甚だしいケースではこんな話を聞いたこともある。

ある若ハゲに悩む男性が、カツラをかぶって見合いをした。これでめでたく結婚できたのだが、相手にカツラだということがばれて離婚されたというのである。


その女性によると、

「ハゲならハゲでも別に構わないのよ。でも、ハゲだということを隠して結婚したのが許せなかった」

という。


カツラのデメリットはこの話に集約されているのではないだろうか。結局、本人も周囲も〝ハゲ隠しの帽子〟という認識になってしまうのである。 ここがスキンヘッドと大きく違うところだ。
カツラをかぶる場合は、周囲にオープンにするのもひとつの手かもしれない。実は、この本の担当編集者Kさんもカツラなのだが、 彼がカツラだということは社内では公然のことになっている。本人も澄ましたもので、カツラと自分で編んだ帽子を併用しているのだが、酒を飲んだとき堂々と、


「じゃあ、新入社員の諸君にワタシの瞬間芸を見せてやりましょう」

などといって、ぱっとカツラをとってしまう。このくらいオープンにしてくれると、カツラをかぶっていても、周囲が、

「やっぱりそちらのほうが若く見えますね」

とい言いやすいのである。どうせカツラだとばれるのだから、これぐらいのシャレっ気で着用するぐらいがいいのではないだろうか。



さて、では増毛法はどうか? あるお笑いタレントさんが実際にやった2つの増毛法の話を聞いたことがあった。これを紹介してみよう。

ひとつは、雑誌などでも宣伝されているスプレー式の〝瞬間増毛法〟だ。これは、髪の毛状にした黒い糸を頭に一吹きするというものだが、 スプレー式の増毛法というのは、確かに遠目にはフサフサに見える。ところが、彼はこのスプレー式の増毛剤でとんでもない目にあったというのである。


「髪の毛が薄いことでは、かなり悩んでいましたからね。この増毛スプレーを振りかけて、意気揚々とナンパした女の子とのデートに出かけたことがあったんですよ。 場所はデズニーランドでした。ところがねぇ……彼女と一緒にジェットコースターに乗ったまではいいのですが、降りてみると額のところが黒くなっているんですよ。 つまり、増毛剤の粉がジェットコースターで吹き飛ばされたんですね。その女の子は腹を抱えて笑うし……もうさんざんですよ。ええ、彼女とはそれ以来会っていません」


もうひとつ、彼は自毛に何本かの人工毛を特殊な接着剤でつけるという方法も試してみた。


「人工毛をつけるのに半日ぐらいかかりましたかねぇ。まあ、これはかなり見栄えも良くなって満足していたんですよ。ところが、これにも落とし穴がありましてね。 それから、半年後ぐらいになると、髪の毛が〝ほうき状〟になってしまったんですよ……」


増毛法は、まだある自毛に何本かの人工毛を接着していく。やった直後は確かに髪の毛が増えたようになり見栄えが良くなるが、当然のことながら自毛は伸びてくる。 くっつけた人工毛もこれにつれて上がっていくわけである。その結果、髪の毛が〝ほうき状〟になってしまったというわけである。


「見た目もてんでバラバラでしょう? 不自然で前よりおかしくなったぐらいでした。それであわてて施術してくれた会社に行くと、 もう一度やる必要があるというんですよ。料金はまた30万円ぐらいかかるというんですよね。半年ごとに30万円ではやってられませんよ」


ちなみに、この人工毛による増毛法は、アメリカでは広告も禁じられているという。


「ボクの使ったスプレー式増毛法は、タレントさんも使っていますがね、テレビではごまかせても、実生活ではちょっと無理でしょうねぇ……」


こんな話を聞いているだけに、簡単お手軽な増毛法はいまひとつお勧めできない。



そして、最後の植毛法である。これは、ワタシ自身でも試して、その効果も前章のように実証済みである。しかし、これも施術してくれる医者やクリニックを選ばないととんでもないことになるようだ。

【4章-3】


実は、いまワタシの手元に『10年間の育毛生活』(現『インチキだらけの育毛事情』)と題した貴重な資料がある。
横浜にお住まいのSさん(28)という方が、自身の体験をもとに書いたものである。ちなみに、《はじめに》と書かれたイントロ部分からSさんの紹介しておくと次のようになる。



    「おまえ将来あぶないんじゃないの?」

    高校時代友人から、時々このような事を言われることがありました。どこが危ないかといえば、それは“頭”の事でした。
    当時高校球児だった私の頭は坊主頭でしたが、どちらかといえば額は広く両サイドは少々そり込みを入れたような、やや後退気味の額をしていました。 その後、高校3年の夏の大会が終わり、野球部を引退した私は髪を伸ばし始めました。そのとき自分自身の頭をみると

    「あれ? 俺本当にやばいのかも?」

    と思うようになったのです。いざ髪を伸ばしてみるとそんなに気にしていなかった額が広く見える様に感じてきたのです。
    (中略)
    さあどうしましょう! やばいと思った私は、毛髪関係の情報収集をはじめました。書店に行けば髪に関する本を見つけ立ち読みをし、これだ! と思えば購入し読みふける日々が続いたのです。 その後、雑誌等に掲載されている、育毛剤や育毛サロン、毛髪移植などの記事を見つけては電話で問い合わせをして実際に体験し、私は数多くだまされ続けてきました。

    〝毛が生える薬が発明されたらノーベル賞だ! 〟

    と世間で言われる程、医学でも治せない不治の病? とも言うべきこの恐ろしい〝ハゲ〟は原因が解明されてないが故に日本ではそれを巧みに利用した〝インチキ商売 〟が数多く存在するのです。 このいわゆる〝毛髪業界 〟はインチキ,詐欺,悪徳商法という言葉がぴったりな程、人の弱みにつけ込み金をだまし取る会社ばかりだったのです。 本当にこんな事が法律で引っかからないの? と思うほど信じられないことばかりなのです。そして、私だけではなくハゲに悩む多くの人達が私と同じ様な思い、またそれ以上に嫌な思いをしている人がいる事実も知りました。 私はこの様な〝インチキ商売〟が身近なところで日々行われているという事実をもっと多くの人達に知ってもらいたいと思っておりました。そして今回恥を捨てて体験談を書きました。 その中には唯一の成功例として苦節?10年目にしてようやくたどり着いた究極のハゲ治療〝ヘアートランスプラント〟をうけた体験談も最後の方に書きました。 今私が強く願っていることそれはインチキな育毛サロンの撲滅です。ここにはインチキ育毛サロンの体験者のみが知っている信じられない話からばかばかしい話などが書いてあります。 髪に悩んでいる人がこれから先このようなものに引っかからないことを願っております。尚、文章を書くことに関して私はズブの素人なのでその辺は御了承願います。




原稿用紙にして軽く100枚を越す前半部分は、育毛サロンを巡った記録だ。これは紙面の都合で割愛させていただくが、後半の植毛部分はワタシがへたに解説するよりずっとわかりやすいので、 これを抜粋することにしたい。
ちなみに、このレポートはすべて実名なのだが、これも何かと差し障りがあるので変えさせていただいた。



    《雑誌で初めて自毛移植の記事を見た時、私は医学の進歩の凄さに驚きました。記事に載っていたAクリニック※(資料では実名)で早速カウンセリングを受けようと思いましたが、 自毛移植に関してはすぐに手術をしようとは考えていませんでした。というのは過去に発毛,育毛サロンでの多く失敗があったからです。 育毛サロンでの失敗の場合は単に髪が生えてこなかっただけで済みましたが、手術の場合は失敗した時の後遺症の事を考えなくてはなりません。 その為、事前に自毛移植に関する本を読みあさり疑問点は必ずクリニックへ問い合わせました。まず安全第一を前提として次に手術の長所、 及び短所等を十分に検討してとにかく慎重に行きました。その後、カウンセリングにはAクリニックを皮切りに自毛移植を実施している東京,横浜,大阪等の数ヶ所のクリニックを尋ねました。 そして自毛移植の存在を知ってから実際に自毛移植の手術を受ける迄に約4年かかった訳です。その間に色々な事を経験しました。そして私が感じた事は日本の自毛移植よりアメリカの自毛移植の方が非常に優れているという事と、 日本のクリニックの中にはいい加減なことを言う医者が何人もいたと言うことです。ここでは、自毛移植に関する4年間の様々な体験談を載せたいと思います》




仕事で植毛した(?)ワタシは、彼の熱意と努力に頭が下がるばかりなのだが、先を続けてみよう。



    《●【不自然さが残る悲しい現実】

    雑誌に掲載していたAクリニックの自毛移植の記事の中でA先生は〝ハゲの8割は救える〟と説明していました。 自毛移植に対して大変興味を持った私はカウンセリングに行く前にクリニックで出している自毛移植の本を入手しました。
    (中略)
    本を読んである程度、自毛移植の基本的な内容を理解した私は次にカウンセリングを受けることにしました。(略)
    待合室には患者さんらしき人がいない中、数分後名前を呼ばれ診察室に入るとそこにいたのはA先生ではなく、30代半ばぐらいの先生と看護婦さんがいました。 私はX先生に直接色々と話をしたかったので、その旨を話すとどうやらA先生はこの日は学会へ出席していると言うことでクリニックにはいませんでした。 仕方がないのでとりあえず、この若い先生に自毛植毛の説明を聞くことにしました。(略)

    話は少々跳びましたがAクリニックでこの30代の先生とのカウンセリングで、私の場合どのような手術方法でやるのか話し合いが始まりました。


    医師

      「えーと君は特にハゲているような感じではないけど… 」



    そのとき私は、右手で前髪をあげておでこを出し先生に説明しました。


    S※(Sというのはご本人のこと。以下同)

      「ちょっと額が広いのと両サイドの生えぎわが後退気味なんで、そこを手術で治していただきたいなあと思いまして… 」



    この時、先生は私の額を見ながら両手を組み考え込むような表情になりました。


    医師

      「うーんそうだねー君は別にハゲげてるわけじゃないからねーまだ手術やらなくてもいいんじゃないかな?」



      「ハゲる前に何とかしておきたいんです。それと以前に比べて少々前の方も危なくなってきていると思うので。」



    医師

      「確かに若干薄くなってるかもしれないけど、元々額が広いだけだと思うよ。でも、どうしてもやりたいというのであればやりますよ、 でもその前に言っておくけど、この手術やっちゃうと見た目おかしくなるよ。」



      「おかしくなるってどんな感じですか?」



    医師

      「君の症状なら手術はパンチ式でやるけども、この方法だとね、術後は田植えをしたような感じで毛が生えるから見た目が不自然になるよ。」



      「あのーパンチ式以外のやり方で、フラップ式という手術がありましたよね。確か側頭部から持ってくるやつ。」



    医師

      「フラップはね、生えぎわに傷が白いラインで残るし移植した髪は後ろ向きに生えて毛の流れがやはり不自然になるよ。 丁度オールバックにしたような状態にしか出来ないからヘアースタイルに関しては制約を受ける事になるし……。 一応そういうデメリットがある事を納得してもらった上でそれでもやりたいと言うならば手術はやりますよ。」



    その後、クリニックで手術を受けた患者さんの手術前後の写真を何点か見せてもらいました。その中に雑誌に掲載していた写真もありました。 雑誌では白黒の写真だったので不自然さはそんなに感じなかったのですが、実際のカラー写真で見るとその不自然さがハッキリと分かりました。 でも中にはそんなに不自然ではない人もいたことは確かです。しかし、この手術をやった人の大半は他人が見たら〝あれ?〟と一瞬思うような不自然さが残るものでした。
    結局、先生の話だと、術後の不自然さは残るが患者さんがその辺を納得するのであれば手術をやるということでした。しかし、写真ではそんなに不自然ではない人もいたので、 これはもう一か八かやってみないと分からない手術だと思いました。でも不自然になるというデメリットの部分をハッキリと話してくれたので、 ここのクリニックはまだ良心的? な方だったようにも思います。しかし、このような問題点が沢山出てきたことでカウンセリング前は期待していましたが、 結局、現実は完璧なものではありませんでした。でもクリニックに来た目的は写真だけではなく実際に手術をした人をこの目で見て確かめて、 その本人から話を聞いてみたいということでした。それは手術をするかしないかを決める重要な点だったのです。 だからこそX先生の頭の移植部分を実際に見せてもらいたかったのです。結局、X先生は不在だったので、また改めて出直すことにしました。 そしてこの目で実際に見るまではがっかりするのはまだ早いと思ったのです。
    X先生とのカウンセリングを希望していた私は数ヶ月後に、今回はX先生がクリニックにいるということを確認した上で再びクリニックを訪問しました。 クリニックに入ると前回の時とは違い3人程待合室にいました。3人を何げなく見たとき、衝撃が走りました。


    S(心の中で)

      「な、な、何だあれは! もしかしてやっちゃった人達だな!」



    やっちゃった人達とはもう言うまでもなく自毛移植の手術をやったということです。
    前回クリニックを尋ねたとき数点の実証例写真しか見ていなかったので実際に手術を受けた人の頭を見たのは今回が初めてとなります。 フランケンシュタインはさすがに大げさですが見た目が本当に不自然でした。3人ともフラップ式だと思います。生えぎわの髪の向きが不自然な横向き、 又は不自然な後ろ向きになっていて、生えぎわに細くて白いライン状に傷が残っているのがハッキリとわかりました。おそらく知らない人が見ても、 あれ?っと思うでしょう。彼らの不自然な頭を見て私はカウンセリングを受ける前に動揺してしまいました。その時、又新たな衝撃が走りました。 手術室からたった今、自毛移植手術を終えた患者さんが出てきたのです。出てきた患者さんの見た目が非常に痛々しい風貌だったのです。 その格好とは頭全体をぐるぐる巻きに包帯で覆われて、その包帯は顎にも巻かれていて顔だけしか出ていない状態だったのです。 その様子は半ミイラ状態でした。もうそのとき私は動揺を通り越してパニック寸前になっていました。その直後、私の名前がよばれて慌てて診察室に入りました。 そして、軽く頭を下げて先生に挨拶しました。


      「こんにちは、よろしくお願いします。」



    X先生

      「こんにちは」



    挨拶後、下げていた頭を上げて先生の顔を見たときさらに衝撃が走りました。


    S(心の中で)

      『 げっ! ふ、ふ、フランケンシュタイン? みたい… だ。』



    ヘアドクターのカウンセラー(※育毛サロンの)が言っていた“自毛移植は最悪の場合フランケンシュタイン見たいになっちゃうよ!” という言葉だけは本当だったんだなあと納得しました。X先生には自毛移植のことを色々聞いてみようと思っていたので、沢山の質問を用意しておりましたが、 X先生の作られた様な不自然な頭を見た時、驚きのあまり用意していた質問事項は衝撃とともに私の記憶の中からはじけて消えてしまいました。 そしてここでの自毛移植はやめた方がいいという答えが出たのです。先生の頭は向かって右側がパンチ式で移植されており、その生え際は確かに田植えのようなすごく不自然な生え方をしていたのです。 そしてその様子はとても痛々しい感じに見えました。遠くから見ると普通に生えているように見えるかもしれませんが、目の前で見たらまさにフランケンシュタインの様でした。 もう、ここまで来たら究極の選択です。


    “自毛移植をしないで将来ハゲることを選ぶか? VS 自毛移植をしてフランケンシュタインの様になるか? ”


    私は人間らしく生きたいので前者を選びました。待合室にいた4人はフランケンシュタインになることを覚悟して自毛移植に一か八か、かけたのでしょうか? 私は先生に当たり障りのない質問をいくつかして、ものの2~3分もしない内に診察室を後にしました。


    “ハゲの8割は救える”


    私はその言葉にわずかな望みを託していたので、診察室を出た時は大変落ち込みました。


    “やっぱり世の中うまくいかないものなんだなあ”


    家に帰る迄の道のりが大変長く感じました。この出来事は今から5年近く前になりますが、あの時待合室で見かけた4人の患者さんは今頃どうしているのでしょうか?
    私の勝手な想像ですが、きっと後悔していると思います。》




このレポートを見て〝衝撃〟が走ったのはこの記者も同じだった。(良かったぁ。こんなクリニックで植毛手術を受けなくて)とつくづく思ったほどだ。
Sさんが次に訪ねたのは、Bクリニックである。Bクリニックは、単一植毛手術を得意とするクリニックだった。彼は、同クリニックの医師2人のカウンセリングを受け、 手術前後の写真を見せてもらったという。



      《まず、1つ目は前頭部から頭頂部までハゲている人の手術で、合計2000本移植したケース。そして、2つ目は生えぎわがやや後退している人の手術で、 合計600本移植したケース。結局、見せてもらえたのはこの2つのみで、写真も移植部分をアップの状態で撮影してあったので全体の印象の変化もわかりにくく、 特に驚くほどのものではありませんでした。2000本移植と600本移植したケースの写真を見ても本当にそれだけの本数が生えているようには見えませんでした。 本には定着率90%以上とありましたが、これらの実証例写真の人が仮に90%定着したとして、それぞれ1800本と540本になりますが、写真を見ると 〝そんなに生えていないような……〟と思ってしまうのです。なんかずいぶんと少なく見えるのです。話によると後頭部から取れる毛の本数は5000本だそうです。 しかし、2000本移植したケースの人を見ると、残り後3000本になりますが、写真を見るとハゲた部分を全部カバーするのは無理だと思いました。 本には移植した人が皆満足している様に書いてありましたが、これは大げさな表現としか思えませんでした。


    そこで、先生に色々聞いてみました。

      「この2000本移植した人は、多少生えてますけど、沢山移植した割にはそんなに変化はないですよね。」



    医師

      「この人の場合ハゲている範囲が広いから、大体こんなものだよ。」