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私が手術を受けたのは2004年の12月です。もともと毛髪は薄い方で、代々父親の家系もそうだから、ある程度は観念していたのですが、36,7歳くらいから鏡を見るたびに、生え際のラインが毎日後退しているのではないかと思うくらい抜け毛が激しくなりました。例えば、ちょっと気の利いたレストランに行っても、バスルームの手洗い場に立つと、天井からのライトに地肌が透けて見えて気持ちが沈みます。鏡張りのエレベーターでは、若い女性が同乗していると角の方に移動してライトの当たらないところに身を置くようになりました。営業の仕事なのでいろいろな企業に訪問しても、相手の目線が生え際にあるような気がして、自信を持って話すこともできなくなってきました。自然、オシャレにも興味がなくなっていきます。

そんなある日、通い始めて間もない美容院の店長から、自分自身も植毛手術をしたことを打ち明けられました。髪で心を痛めている私を見て、きっと見かねたのでしょう。私から見ると、彼は何の違和感もなく髪の毛がフサフサで、同性からみてもイケメンの彼が体験者という告白には耳を疑いました。が、彼の手術を受ける以前の写真を見て絶句しました。もう私どころの騒ぎではありません。正面から容赦なく後退した頭頂と、端正な顔立ちのギャップが痛々しく、表情そのものもどこか自信がなさそうです。その写真と彼の自信あふれる表情を見比べて、カウンセリングを受ける勇気が湧いてきました。

冷たく重苦しい空気をイメージしていたのですが、ニューポートビーチにあるそのクリニックは明るく清潔な雰囲気で想像していたものとは違いました。何より、先生も助手も話しやすいムードを作ってくれて、納得がいくまで説明をしてくれました。もちろん日本語です。その日は手術の予約を入れて、清々しい気持ちでクリニックを後にしました。

手術当日は、朝9時頃にクリニックに到着。もう一度確認のカウンセリングを受けていよいよ手術です。手術は切開から1本1本の植え込みの作業を入れるとおよそ5,6時間に及びましたが、麻酔のせいかさほど痛みを感じるものではありませんでした。手術の間、大きなスクリーンテレビで見過ごしていた<ラストサムライ>と<ターミネーター>の2本の映画を観ました。術後、家内の運転でクリニックを後にする頃にはもう陽が落ちかけていました。

変化が少しずつ見られるようになってきたのは、4ヶ月を過ぎたくらいからです。親しい間柄の仲間からはハッキリと髪が濃くなったと驚かれるようになりました。そうなると悪い気はしません。5ヶ月を過ぎる頃には、丈夫で年相応の生え際がはっきりと備わっていました。家内からも褒められたりして、気分がよいので少し派手目のスーツを新調しました。ネクタイも自然と華やかな柄に手が伸びます。何が変わったかというと、もちろん毛髪なんだけど、一番の変化は私自身の心の中が明るく前向きになったこと、そして本来の自信が得られたことかも知れません。

 

J.Y. 40歳 (メーカー勤務 サンタモニカ在住)

 

 

 

     
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